【吹き抜け】のメリットとデメリット:新築計画におけるポイントと注意事項

2023.09.28

【吹き抜け】のメリットとデメリット:新築計画におけるポイントと注意事項

明るくて広々とした空間を実現にするにあたって、多くのお客様が希望されるのが【吹き抜け】です。説明するまでもありませんが、吹き抜けと言うのは、1階から2階(もしくはそれ以上の階)の間に天井や床がないことですよね。つまり、1階から最上階までがドンとつながっている空間を指します。

開口部が大きいので季節関係なく効果的に採光することができますし、実際の広さ以上に、広くて開放感溢れる空間に仕上がるのが特徴です。しかし、一概に「吹き抜けのある家は最高!」と言い切れないのが現実だったりもするんです。単なる憧れだけで吹き抜けを作ってしまったことで、生活に支障をきたす場合もあるんですよ。そこで今回は、新築に吹き抜けを採用することで生じるメリット&デメリットについてお伝えしていこうと思います。

記事サマリ

吹き抜けのメリット

それでは早速、吹き抜けを作ることで得られるメリットについて説明していきましょう!

 冬でも効果的な採光ができる

吹き抜けのある空間は(特に大きな窓を設置した場合)、季節や時間帯に左右されず、日光が入りやすくなります。例えば、太陽の位置が低くなる冬場でも十分な明るさを確保することができるのです。土地の向き(方角)や広さの関係で採光に不安があったり、周囲に住宅が密集しているような場所に家を建てる場合は、吹き抜けを作ることが問題解決の糸口になるかもしれませんよ。加えて、効果的な採光ができれば、日中に照明を付ける回数が減りますので、電気代の節約にもつながる可能性があります。

 健康的な生活が期待できる

前述した採光面ともリンクしますが、つねに日光が降り注ぐ空間で生活できるというのは健康面に大きな影響を与えてくれます。成長期のお子さんがいるご家庭はもちろん、大人にとっても体内時計の調整がしやすくなるといったメリットが期待できますよね。紫外線が気になる方もいらっしゃると思いますが、そういった場合は、UVカット性能のあるガラスやフィルムを活用したり、簡単に日差しの調節ができるロールカーテンなどを設置すると良いでしょう。

 視覚的に空間を広く感じられる

空間の広さの感じ方は、実は「高さ」にも大きく影響されます。例えば、ある程度の広さがあるリビングであっても、その空間が完全に区切られていたり、天井が低かったりすると、実際よりもかなり狭く感じてしまうんですよね。一方で、吹き抜けによって空間に「高さ」ができれば、少々狭いリビングだとしても開放的に仕上げることができます。さらに、吹き抜けは空間をオシャレに見せる効果がありますので、そういった理由からも人気が高いのです。

 家族間のコミュニケーションが取りやすい

吹き抜けにすると1階と2階がつながるため、「今、誰がどこにいる」といった家族みんなの気配がつねに感じられ、コミュニケーションが取りやすくなります。また、吹き抜けのあるリビングであれば、完全個室型のリビングよりも人が集まりやすくなるという利点が生まれてきます。閉じこもりを避けたり、家族間の会話を大切にしたいと思われるなら、吹き抜けは最適ですね♪ 近年人気の高い「リビング階段」との相性もばっちりですので、吹き抜けを検討される際は、併せてリビング階段の設置も考えてみてください。

床を張って部屋に転用できる

吹き抜けの多くは、リビングに設けられています。リビングは南側にある間取りが多いので、そこに吹き抜けがあると「2階に陽当たりがよい部屋を1室分失っている」とも言えます。家族の成長に伴い部屋数を増やしたい。そのようなことなど考えると「いまから部屋にするか、開放感ある憧れの吹き抜けにするか……」と悩む方が少なくありません。そんなときは、あとで部屋にできるように吹き抜けを設計しておくがおすすめです。

吹き抜け部分にあとから床が張れるように、構造や配線等の計画をしておけば、書斎や子ども部屋が必要になったときに、吹き抜けをお部屋に転用できます。ただし、増床は建築確認が必要になるケースもありますので、建築会社と相談してを進めるのがおすすめです。

吹き抜けのデメリット

続いては、吹き抜けのデメリットについてです。

 冷暖房の効きが悪くなる

これは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか? 温かい空気は上に、冷たい空気は下に留まるので、吹き抜けにすることで「冷暖房の効きが思い通りにコントロールできなくなる」わけですね。特に冬場は、1階のリビングに冷たい空気が充満してしまい、暖房を付けても温かい空気がどんどん上にいってしまう…ということが危惧されます。解決策としましては、シーリングファンやサーキュレーターを設置して空気の滞留を抑える、記載されている畳数よりも少し上のエアコンを選んでみる、床暖房を設置して1階部分の温度調節ができるようにするといったものがあります。天井のシーリングファンは、吹き抜けのある家のほとんどで採用されていますよね。ただ、冷暖房の効きに関しては、そこまでナーバスになる必要はありません。注文住宅をはじめとする最近の住宅は断熱性や気密性といった性能がかなりしっかりしていますから。

 2階部分が狭くなる

当然ですが、吹き抜けを作ることで、2階部分の部屋数が少なくなることが考えられます。同時に、押入れなどの収納スペースも削られる場合があることを頭に入れておきましょう。開放感を取るか、部屋数を取るか…といった難しい選択になりますが、まずは、ライフスタイルや家族構成を考慮して、必要な部屋数、収納などをある程度確保した上で、吹き抜けの採用を検討するのがスムーズな流れだと思います。また、柱の数や壁の面積(吹き抜けに大きな窓を付けた場合)が少なくなり、耐震強度の面で問題が出てくるケースもあります。吹き抜けを作る際には、間取り+建物の強度についても事前に確認しておきましょう。

 メンテナンスが大変

吹き抜け部分のメンテナンスに手間がかかることもデメリットと言えます。天井付近に設置された照明の電球交換や窓の掃除などは、かなり高い位置での作業になりますよね。危険が伴いますし、自分たちでは対処しきれなかったりするんです。特に吹き抜けの内側にある窓は結露ができやすく、大量のカビが発生する恐れがあります。ですので、吹き抜けを作る場合は、このようなメンテナンスに関することも考えて、採用の可否を検討していく必要があります。掃除などは専門の清掃業者にお願いすることができますし(コストはかかりますが)、自分たちで保守点検をしたい場合は、吹き抜け部分にキャットウォークのような狭い通路を設置する方法もありますよ。

 音やニオイが家中に広がってしまう

これも仕方のないことですが、吹き抜けにしたことで、1階で発生した音やニオイが2階まで広がってしまいます。音とかニオイって、住んでみないとなかなか実感が湧かないのでイメージしにくいんですよね。「料理のニオイが2階の寝室まで充満して困る」とか「2階で遊んでいる子どもの声がリビングに響き渡ってうるさい」といったケースが実は少なくないんです。対策としては、プライベートを確保したい部屋には防音対策を施す、音を響きにくくする吸音材を設置する、防臭効果のある壁紙を採用する、換気扇を設置する…といったところでしょうか。どれも家が建った後では設置が難しいので、計画・設計の段階から対策を考えていきましょう!

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吹き抜けを検討する際の注意点

吹き抜けを検討する際の注意点は多岐にわたります。吹き抜けは美しいデザインや開放感を提供できますが、上記のようなデメリットもあるため慎重な計画と設計が必要です。

以下は吹き抜けを検討する際の主要な注意点です。

法規制と建築許可

吹き抜けを設置する場合、地域の法規制や建築許可に準拠する必要があります。地域によっては吹き抜けの高さや安全規定が異なるため、建設前に確認が必要です。

断熱性と気密性

吹き抜けは気温の変化に敏感で、断熱と気密性に対する注意が必要です。断熱材や気密性を高めるための建材選びや空間設計に配慮し、冷暖房効率を向上させることが大切です。

冷暖房の計画

吹き抜け空間では温度差が生じやすいため、冷暖房の計画が必要です。エアコンや暖房設備の適切な配置を考えましょう。また、天井付近にシーリングファンを設置することで空気の循環を改善できます。

音とニオイへの配慮

吹き抜けは音とニオイが家中に広がる可能性もあります。吸音材や換気システムの導入、家全体の間取りを考慮して吹き抜けは検討しましょう。

安全性

吹き抜けの手すりやバルコニーなどの安全対策が必要です。特に子供やペットがいる場合、安全な手すりやゲートの設置を検討しましょう。

メンテナンス

高い位置にある窓や照明のメンテナンスが難しいことがあります。メンテナンスのしやすさを考慮し、必要に応じてメンテナンス専門業者を利用するおとも検討しましょう。

設計とデザイン

冷暖房の計画、音やニオイへの配慮だけでなく、家のスタイルやインテリアと調和するように吹き抜けを設計し、開放的で美しい空間を実現しましょう。

家族のライフスタイル

家族の構成やライフスタイルに合わせて吹き抜けの有無を検討しましょう。子供がいる場合、吹き抜けは家族のコミュニケーションを促進する一方、安全性への懸念も考慮すべきです。また将来的に吹き抜け部分に床を張って部屋とすることも考えられます。ライフステージも考慮し吹き抜けを検討するのがおすすめです。

コスト

予算に合わせて設計と計画を調整し、無理のない範囲で吹き抜けを実現しましょう。

プロのアドバイス

吹き抜けの設計や実装に関しては、建築家やプロのコンサルタントからアドバイスを受けることが重要です。専門家の意見を取り入れることで、問題を事前に解決できます。

まとめ

これらの注意点を考慮して、吹き抜けを検討し、家のデザインに取り入れることが重要です。専門家の助言を受けながら、安全で機能的かつ美しい吹き抜けを実現しましょう。

吹き抜けの特性というものを少しでもご理解いただけたと思いますので、これからの新築づくりの参考にしていただければ幸いです。見た目のオシャレさや開放感を求めて吹き抜けのある家を考える方が多いと思いますが、意外とデメリットや注意点もたくさんあります。

とは言え、どんなに吹き抜けにデメリットがあろうとも簡単に諦めてしまうのももったいないですよ。私たちARRCHがご提案するような完全注文住宅であればなおさらです! 断熱性や気密性といった家の性能、建物にマッチした各種設備、生活をより快適にするための間取りや動線にちょっと工夫を加えることで、デメリットを一気に解決することだってあり得ます!

まずは、新築を建てる土地の広さや方角、周辺環境などを把握した上で、「本当に吹き抜けは必要か?」「吹き抜けを作るとしたらどのように作るのが最適か?」などを担当スタッフや建築士さんに気軽に相談してみてください。「どうしても吹き抜けのある家にしたい!」という強いご希望があるのなら、吹き抜けプランの注文住宅を数多く施工している会社を中心に調べてみたり、施工事例を集めてみたり、完成見学会に訪れて実際の吹き抜けの雰囲気に触れるなど、具体的な情報を数多く集めてみてくださいね!

ARRCHの吹き抜きのある家、施工事例

ARRCHは静岡県浜松市を中心に、約半世紀にわたり大手ハウスメーカーの基礎工事会社として3000棟を超える建築に携わってきた、株式会社LIFEFUNDの新築注文住宅事業部です。
人生を愉しむ家。をテーマに建築家とつくる家を提供しています。

下記リンクで吹き抜きのある家の事例紹介をしています。吹き抜けのある家に関心がある方は是非ご覧ください。

https://www.arrch.net/case_newly/fukinuke/